しかし今出かけなければいつ出かけられるか、父母はまだ留守番に耐えられる。仕事の段取りをつけるために９月に１０日間の夏休みを取ることを職場に宣言する。そして旅行会社を予約する。送られてきたパンフレットの海の色に思わず見とれてしまう。何と言う色のバリエーションなのだろうか。深いブルーから薄い空色と真っ白な砂浜,緑の険しい山並み、ボラボラ島とタヒチの海に心を奪われるのに時間はかからなかった。

タヒチまでの飛行機の中で映画を３本見、長い飛行時間も苦にならなかった。タヒチからボラボラ島まではラグーンを見るために夫は窓側の席を譲ってくれた。珊瑚の輪が大きく島を包んでいる。色のバリエーションが幾重にも広がり、水色のすべての色がある。珊瑚の輪に白い漣が打ち寄せている。島に着くとレイのプレゼントがあり,それを大事に抱えコテージに置いた。ボラボラ島からコテージのあるモツという島に行くが桟橋のホテルの施設では、ボラが気持ちよさそうに泳いでいるのが見え、飲み物が用意され、コテージまで小さな電気三輪車でいく。

　　　　　　　

　どこに行くにもここをとおらないといけないため、毎日パンの残りをやるのを楽しみにする。天蓋のついて大きなベット、別々に化粧台のついたバスルーム、海から上がれば温水シャワーのあるテラス。ここで朝目覚めたら、そのまま海に飛び込み、シャワーを浴び、カヌーで運ばれてくる朝食を食べるのが夫の夢のひとつであった。私も海に飛び込んだまでは良かったが足がつかず怖いので、夫は小さなマンタが泳いでいたと言ったが、そのままテラスの端にしがみつきのそのそと上がってしまい、砂浜近くで泳ぐことにした。
　私達の年齢では半日海にいると疲れてしまい、半日昼寝するというもったいないすごし方をしてしまったが、モーレアの険しい緑の山々ともったいなくて買えなかった大粒の黒真珠とボラボラの海と蒼いパレオが私たちのタヒチの思い出である。