しゃがれ声でピアノやギターをバックに気だるげに歌う、トムの歌声の魅力に気が付いたのは、ある程度、年齢を重ねてからでした。

『CLOSING TIME』のファースト・トラック「Ol’55」をはじめて聴いたのはイーグルスのヴァージョンでした。聴いてすぐに気に入ってイーグルスのレパートリーの中でも特に好きな曲になりました。そのイーグルスのヴァージョンをボロクソに言っていたトムでした。今思えばトムらしいエピソードではあります。

トムのオリジナル・ヴァージョンは、全てにおいてパーフェクト、自身の体験を歌にした作品で、夜遊びの朝帰りを歌っており、男の哀愁がにじみ出ています。大人の香りがプンプンする名曲で、トムの名を一躍有名にした作品です。

デビュー・アルバムのタイトルが、『クロージング・タイム』というのもトムらしいですね。このアルバム制作時、２４歳とは驚きです。