ジュディを知ったのは、つい数年前でした。CDを再生すると透き通るような美しい歌声とギターの音色に魅了されてしまいます。スタートの「Crayon Angels」から「The Phantom Cowboy」と続くナンバーはどこを聴いても魅力的です。バックのハーモニーは、リタ・クーリッジ、クライディ・キング、ヴァネッタ・フィールズの3人、そして、時折入るストリングスが美しさを際立たせています。
　シングル・カットされた「Jesus Was A Cross Maker」は、グレアム・ナッシュのプロデュース作で、後にキャス・エリオット、ホリーズ、リンダ・ロンシュタット、ウィーレン・ジヴォンなどがカヴァーしています。

　アサイラム・レーベルの第１弾としてリリースされた『JUDEE SILL』、期待は大きかったと思いますが、商業的成功は収めらなれなかったようです。73年にはセカンド・アルバム『HEART FOOD』をリリースしますが、続くサード・アルバムは準備半ばでとん挫、79年に亡くなっていたことが後にわかります。

　ジュディのティーンエイジャー時代は、暴力、家出、セックス、ドラッグ、投獄と恐ろしく乱れたものだったようです。けれどもジュディがつくりだす音楽は美しく気高いものでした。35歳という若さでの早逝は残念でなりません。